池田忠正被告(50)=長野県御代田町=は今回、2015年3月、同県佐久市の市道で、中学3年生の和田樹生(みきお)さん(当時15)を44・6メートルはねたのに救護しなかったなどとして起訴された。

 被告は同じ事故をめぐり、15年に過失運転致死罪で禁錮3年執行猶予5年の有罪判決が確定した。さらに18年に速度超過の罪で再び起訴されたが、長野地裁は、裁判を起こすには本人に通知した上、反則金が未納のまま納付期間を経過する必要があるのに、その手続きを踏んでいないとして公訴を棄却した。

■一審は「免訴」主張退けて実刑判決

 今回のひき逃げの罪について長野地検は、遺族からの告訴を受けて捜査したが、嫌疑不十分で不起訴にした。検察審査会の「不起訴不当」の議決を受けた再捜査でも不起訴を維持したが、両親の強い申し入れなどを受け、最終的に22年1月に起訴した。

 公判で弁護側は、同じ事件で二重に処罰することを禁じる「一事不再理」にあたるとして、公判を打ち切る「免訴」をすべきだと主張した。

 これに対して一審判決は、過失運転致死罪とは別の犯罪だと判断。量刑については、二つの罪が同時に審理されていた場合との均衡を考慮する必要を踏まえ、「実刑が相当な事案」として懲役6カ月を言い渡した。

 一審判決によると、池田被告は衝突地点から約95メートル先で車を止め、現場に戻ったが被害者を見つけられず、酒の臭いを消そうと車から約50メートル離れたコンビニで口臭防止用品を購入。2〜3分後に再び現場に戻った後に和田さんを発見し、人工呼吸をするなどしたが和田さんは亡くなった。
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