現場の警察官に配られた「痴漢捜査マニュアル」を独自検証する

http://news.livedoor.com/article/detail/13206280/

通勤時間帯、首都圏の電車では異常な光景が展開されている。
男性たちは痴漢に疑われぬよう、吊り革に両手でつかまり、高齢者を立たせてまで自らの座席を確保しようとする。
「痴漢冤罪保険」なる商品が登場し、加入者を伸ばしている。
こんな日本社会の病理を作り出す原因の一つが「誤認逮捕」、つまり問答無用で警察に逮捕されることへの恐怖だ。
報道記者として警察取材を続けてきた竹内明氏が、現場の警察官に配られた「痴漢捜査マニュアル」を独自検証する。

中略

■示談金目当ての”被害常習者”も

「痴漢捜査マニュアル」の中で、もっとも重視されるのが、被害者調書の作成方法である。
体に触れていた犯人の手を直接掴んで、その手を肘、肩と辿って犯人の顔を確認したのか。
犯人の袖口、時計、指輪の特徴を言えるか。
被害の後、犯人の腕を掴んで警官に渡すまで一度も手を離さなかったかなど、確認事項は詳細、多岐にわたる。

もし被害者が犯人の手を一度でも離していたら、取り違えの可能性を疑わねばならない。
警察官は被害者に微細にわたる質問を繰り返しながら、矛盾点がないか検証していかねばならないのだ。

実際に被害に遭った女性からすれば、被害申告が疑われているように思うかもしれない。
それなのに、なぜ、被害女性の申告内容をここまで細かく検証するのか。
それは示談金目当ての「被害申告常習者」が存在するからだ。
ある刑事はこんな事例を明かす。

「俺が取り扱った事件でも危ないのがあった。
被害者は大手企業勤務の女性だったのだけど、被害にあったのが帰宅ルートとはまったく逆の電車、しかも痴漢列車として有名な車両に乗っていた。
被疑者は否認しているし、女性の説明もあやふやで、矛盾があったから、念のために他の署に照会した。

するとその女性はあちこちで痴漢被害を訴えていて、合計数百万の示談金をとっていることがわかった。
1件につき、50万から100万円とっていた。こういう連中もいるから、被害申告を鵜呑みにはできない」

示談金目当ての被害申告常習者をリスト化すればいいという声もあるようだが、実際に複数回、被害に遭う女性もいるわけで、「リスト化など不可能に近い」(警視庁刑事)という。