福島県葛尾村の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の玄そば(殻付きのそばの実)から国の基準値を超える放射性セシウムが検出された原因について、
県は10日、収穫時に農家が使った農具の土ぼこりが付着した「交差汚染」だったと発表した。
農具は原発事故後に一度も使われず保管されており、洗浄もされていなかった。

県によると、原因とみられる農具は、収穫物を入れる容器のような形のもの。
各地の復興拠点ではコメや野菜の作付け再開が進んでおり、県は農家らに農機具の清掃などを徹底するよう呼びかける。

玄そばは昨年6月に避難指示が解かれた畑で試験的に栽培され、今年からは安全性を確認できれば出荷する計画だった。
県のモニタリング検査で放射性セシウムが国の基準値の1キロ当たり100ベクレルを上回る同430ベクレルが検出され、今年の出荷は見送られた。

県が同じ畑の6カ所から採取した実の濃度は最大でも同19・8ベクレル。
基準値を超えた実は表面を洗うと濃度が激減し、実を壊さない手法で汚染程度を調べると、一部の殻だけに高濃度のセシウムが付着していた。
県は専門家らの助言も踏まえて「交差汚染」と判断した。