2025年大阪・関西万博の「目玉」が次々と消滅危機だ。まず日本初の商用運航を目指す「空飛ぶクルマ」の機体量産が、開幕に間に合わない見通しだと判明した。

「府と大阪市は会場の夢洲と、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど大阪の観光地5カ所を空飛ぶクルマで行き来する計画でした。しかし、委託された4つの企業グループのうち、2つは量産に必要な安全認証の取得が遅れ、26年の取得を目指すと発表。1つは商用運航を断念し、万博までに調達できる機体数は最大数機にとどまる見込みです」(運営主体の日本国際博覧会協会関係者)

■空飛ぶクルマも海外パビリオンも頓挫

 大阪府の吉村知事は8月のイベントで「大阪のベイエリアを、普通の人が自転車に乗るみたいに、空飛ぶクルマに乗ってぐるぐる回っているのを、万博でやります」と豪語していたが、13日の会見では「飛べば十分だ」「地下鉄のようにすごく飛び交うようなイメージにはならない。万博がゴールではなく、レガシーとしてどう残していきたいか、だ」と思いっきりトーンダウン。未来の暮らしを変える「移動革命」の象徴のはずが、「しょぼい万博」のシンボルとなりかねない。

「万博の華」の海外パビリオンも自前での建設を断念する国が続出。当初は60カ国による計56施設の出展が見込まれていたが、各国が独自に建てる「タイプA」の建設を諦める国が相次いでいる。

 背景にあるのは建設業界の資材高騰や人手不足で、建設費の予想額を上回り、契約が難航。多くの国が他国と共同使用の「タイプC」や、日本側によるプレハブ建て売りの「タイプX」に移行する意思を表明し、建物自体が展示物で万博の目玉となるタイプAは最終的に当初予定の半分以下、20カ国程度になってしまう可能性もある。

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