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「前方約10メートルにコンビニがあります」視覚障害者・外国人に音声で道案内…神戸空港で実証実験

36言語に対応

 視覚障害者や外国人向けに、音声などで移動を支援するアプリの実証実験が神戸空港(神戸市中央区)で行われている。同空港は将来的な国際化に加え、2024年5月に神戸市で行われる世界パラ陸上競技選手権大会や25年大阪・関西万博で、多様な人の利用が想定される。アプリの設置を推進するNPO法人は「世界的に見ても、バリアフリーが進んだ空港にしたい」と意気込む。(新谷諒真)

 アプリはスペインで開発された視覚障害者向けの移動支援アプリ「NaviLens(ナビレンス)」。スマートフォンのカメラ機能で街中に設置されたタグを読み取ると、「前方約10メートルにコンビニがあります」「右側約5メートルに自動販売機があります」など、目標物までの距離や方向などを指示してくれる。タグの正確な位置がわからなくてもスマホを周辺にかざすことで感知するほか、タグのサイズによっては離れた場所からでも読み取れるという。

 国内では、視覚障害者に働く場を提供するNPO法人「アイ・コラボレーション神戸」が設置活動を展開。21年にはポートライナーの三宮駅から医療センター駅までのルート案内を実現させるなど、各地に導入している。

 今回は市や神戸空港を運営する関西エアポート神戸に働きかけ、9月下旬から年末までの期間限定で、神戸空港や神戸空港駅の約100か所に設置した。

 全地球測位システム(GPS)を使わないナビレンスは、より正確な位置を検知でき、点字ブロックでは分からない周囲の情報も得られる。英語やスペイン語など36言語に対応しており、視覚障害者だけでなく、外国人向けの道案内アプリとしても有効だという。

11月15日の実証実験でアプリを使って移動する参加者=アイ・コラボレーション神戸提供
 11月15日には、視覚障害者らが三宮駅から神戸空港まで、アプリを使って移動する実証実験を実施。参加者からは「知らない土地に行った際に役立ちそう」「タグの数が増えれば、より移動しやすくなる」などの声があったという。

 実証実験で効果が認められれば、来年5月の世界パラ陸上選手権まで設置期間が延びる可能性もある。同NPOでは、神戸空港の国際化に向けて常設化も目指す考えで、担当者は「さまざまな背景のある人にとって、便利な空港、便利な神戸の街を目指していきたい」としている。