窃盗被害者が近年、犯行の様子と思われる画像を公開するケースが増加している。

被害の実態を伝え、犯人の出頭を呼びかける意味合いを持つが、メディアが報じる際には、顔にモザイクがかけられる。その理由について、テレビ朝日デジタル解説委員の名村晃一氏は、犯罪時は基本的に「逮捕されたかどうかを、顔を出す1つの線引きにしている」と説明する。

「テレビは影響力も大きい。間違った判断を仮にして、顔を出してしまったら、大きな人権侵害になる。最終的に確証が得られない部分は相当ある。捜査機関ではないから。そうすると、容易に顔を出して(報じる)というのはできない」(テレビ朝日・名村晃一氏)

しかし被害者側は、窃盗当事者と思われる人物をモザイクなしで公開し、弁済や出頭を呼びかける。「お支払い忘れていませんか?1週間お待ちしております」と画像をSNS投稿したのは、大阪府東大阪市の無人古着販売店。少なくとも古着8店を盗まれる被害を受け、なるべく顔が写っていない場面を選び、ネット上に公開したという。


無人販売でラーメンなどを盗まれた、千葉県の「麺屋 どんぶら来」は、フードを深くかぶり、マスクもして、顔もわからない人物が、会計するふりをして持ち帰る様子を動画で公開した。

「(顔がわからず)恐らく捕まらないなというので、もしかしたらカメラの映像を出すことで、犯人に見覚えがある人からコメントが来るかなと思った」(麺屋 どんぶら来・齋藤大樹代表取締役)

「おい、デブ!!盗んだ肉は旨かったか?」と投稿したのは、全国に50店舗を展開する無人販売店「おウチdeお肉」。店舗内には、万引きはSNS拡散するとの張り紙が貼られている。万引きがあとを絶たず、積極的に顔を公開し、効果は絶大だという。林眞右代表取締役によると、「○○高校の○○君だと思います」といった具体的な情報も寄せられ、「10件あったら8件、9件くらい捕まるイメージ」だという。

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