NTTがいま注力している「IOWN」とはザックリ言うと、これまで電気で動いていた半導体を光の処理に変えてしまうというものだ。

 IOWNにより、データ伝送容量は125倍以上、遅延は200分の1に縮小、電力効率は100倍以上になるという。例えば、スマートフォンは年に1回、充電すればずっと使い続けられるとNTTでは説明する。

 自民党や一般のメディアでは「NTTはIOWNによって、アメリカのIT大手であるGAFAに対抗できる」と期待しているようだが、通信業界では「それは違うのではないか」と多くの人が首をひねる。

 KDDIの髙橋誠社長は「(NTTとGAFAでは)レイヤーが違うので、どうやって対抗するのかは非常に疑問」と釘を刺す。ソフトバンクの宮川潤一社長も「そもそもNTT法を廃止したところでGAFAには勝てない」と切り捨てる。

 確かにGAFAのうち、Googleは検索や地図、YouTubeなどの広告ベースのサービスを提供している会社だし、Appleはメーカー、Facebook改めMetaはSNS、AmazonはECやクラウドが主な事業だ。

 一方、NTTの「IOWN」は半導体を置き換えたり、ネットワークを進化させるものだ。IOWNの対抗となるのは、インテルやクアルコム、NVIDIAといった半導体で商売をしている会社やサーバーベンダーなのではないか。

 「IOWNで世界のネットワークを変える」と言われれば納得だが「GAFAに対抗する」と言われるとピンとこないのだ。