1970年代に戦後フォーディズム経済に幻想を抱く人間が信奉する工業高校が衰退した理由は、

(1) 脱工業社会の到来(需要の飽和、石油危機、生産現場の自動化・省力化など)
(2) 工業高校における中退率の高さ(ものづくりに興味の無い生徒の多さ)
(3) 工業高校における不本意入学者の多さ(本当は普通高校に行きたかった生徒の多さ)
(4) 大学入試科目と工業高校の教育課程の不整合(本当は大学に行きたい工業高校生の多さ)

などである。つまり、「中卒高卒で職工になる」的な価値観が1970年代には限界を迎えていたことを意味する
したがって、現在の60歳程度までの世代が中学生だった時代には、工業社会の終焉に加えて、
「中卒高卒で職工になるなんて我慢ならない」的なリベラルな価値観が既に蔓延していたのである
その結果、1980年代には多くの中学生が普通科高校に進学し、高校卒業後は高等教育を受けるという価値・規範が完成することになる
1970年代には「馬鹿はブルーカラー労働に勤しめ」なんて価値観は限界を迎えていたにもかかわらず、過去を棚上げして今の若者を叩くというのは笑止千万である

既に高等教育機関(大学・短期大学・高専4年・専門学校)への進学率は約84%
高校生の高等教育機関進学率はどれだけネットで叩かれても低下していない