【悲報】安倍晋三有能だった…

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「1週間は現地に入るな」熊本地震で発揮された安倍元総理の統率力

安倍元総理が、災害対策本部長として指揮をとられた2016年の熊本地震。当時、私は西方(西部方面隊)総監でした。あのとき、安倍元総理が立てた方針で、現場の人間として非常に助かったと思ったことが大きく2つあります。

第一に、安倍元総理は対策本部を中央と熊本地域の両方に出したうえで、大臣や国会議員の現地入りを「1週間は現地に入るな」と制限しました。

桜林 皆さん、ちょこちょこ行きますからね。


小川(陸) 大臣が来るとなると、そのための交通統制であるとか、災害派遣を途中でやめてブリーフィングの準備をするとか、どうしても受け入れの準備が必要になり、派遣活動に100%専念することはやや難しくなります。

安倍元総理に彼らの現地入りを制限していただいたおかげで、そういうことにまったく意を払うことなく、災害派遣に完全に専念することができました。実際、安倍元総理が視察に来られたのも1週間が経ってからです。

安倍元総理は、被災地を大型ヘリのチヌークに乗って上空からまず見られて、それから現地に入られました。そして安倍元総理の視察後、最初に現地入りを許可したのは、自力で現地に行ける防衛大臣でした。現場の人間からすると、その統制がすごくありがたかった。

熊本地震では、安倍元総理は最初の2日半をプッシュ式にしました。これは理にかなっています。震災直後は自治体も状況を把握できていないし、現場も何がどれぐらいの量必要なのかというのもわからない時期ですから。

熊本地震は局地的とはいえ、インフラがかなりやられていたので、そうした避難している方々に対して、必要な支援物資を予測した場所に予測した量を提供したのがプッシュ式でした。

20万人近くが避難されていました。20万人だと一人3食で一日60万食が必要となります。ものすごい量になるのと初日から必要になったのとで、最初は西部方面隊が備蓄している食料や、海空自に頼んで備蓄している食料を払い出してもらいました。

それは当然、上司の許可を得たうえでの対応でした。それら備蓄食料の配分後に、追加食料が間に合うように中央で調達をして、食料をプッシュ式で一気に熊本の被災地域近郊まで送り込んでいただきました。

安倍元総理は、2日半ほどしたら今度はプル式に切り替えました。プッシュ式をやり続けていると阪神淡路大震災のときのような状態になりかねないので、途中から中央で行う食料調達のプッシュ式契約を止めて、自治体が把握した避難所ごとの必要物資を要求に応じて補給する形にしたのです。おかげで倉庫や避難所が救援物資であふれかえることなく、非常にスムーズにいったと感じました。

桜林 段階に応じてやり方を変えていく柔軟性ということですね。

小川(陸) はい。そういう形できちんと統制していただけたので、みんなの頭の中も「最初はプッシュ式で、次にプル式だな」と一致させることができました。