https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/0a64ab11bc3d57e9e539569c11d8040390595695
 そもそも木造リングはどのように企画されたのか。

 会場をリングで囲むデザインは、コンセプトの「多様でありながら、ひとつ」を表現する構造だという。

 そこに大阪府木材連合会(府木連)が、リングを木造にする案を陳情した。私が目にした当初の案は、直径0.8~1メートル、長さ12メートルの国産丸太を2200本立ててリングを支えるというものだった。木材は再利用できるからSDGsの精神に合致する、建築費は試算で約104億円と安くなる、国産材を使うことで林業振興に役立つ……などのメリットを挙げていた。

 それに対して林業家は比較的冷淡な反応だった。その太さ、長さの国産材を2200本調達するのは不可能だからだ。私も、寺社建築などで直径80センチのヒノキが必要だと探しても、なかなか見つからず難儀しているのに、この本数はまったく荒唐無稽だと感じた。木材関係者は、日本の山の実情を知らないのだ。