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リングを木造にする案は通ったものの、無垢の大径木材は諦めて、構造用集成材を使うことになった。すると国産だけでは無理となる。必要な約2万立方メートルは、国産の構造用集成材の年間供給量の6割を占める量なのだ。生産力の点からも厳しい。そこで柱には主にフィンランドのアカマツ材による集成材が多く使われることになった。この時点で、日本の林業振興という旗印も怪しくなっている。

 その後建築費も膨れ上がり、試算の3倍以上。集成材が高いためか。あるいは木構造の工事費の見積もりが甘かったのか。もしかして中抜きされたのでは?と疑いもかけられる始末。

 ただ梁部分や歩行する床には国産の集成材を多く使うことで、かろうじて国産材の出番をつくったわけだ。

 府木連は、床にはNLTと呼ぶクギで木質板を接合したパネルを使う提案をしていた。その方が小規模工場でも製造可能で、安くつくのだが、結局は国が肩入れしているCLTとなった。こちらは板を接着剤で張り合わせたパネルで、大規模な専門工場で製造する。しかしCLT工場は、関西にない。地元の木材業者にメリットはあまりなさそうである。

 もはや木材は天然素材で、再利用できるという点しか売り文句にならない。