《右目失明していた》闘病生活送ったスーパーボランティアの尾畠春夫さん「大型一種の免許は更新できず」も「バイクは片目で毎日乗ってます」の今

 日本全国の被災地へ真っ先にかけつけ、黙々と活動を続ける赤い鉢巻きがトレードマークの“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(84)。1月27日、能登半島地震で大きな被害を受けた石川県の3市町で、一般募集した災害ボランティアの受け入れが始まった。しかし、そこに尾畠さんの姿はなかった。NEWSポストセブンが大分の尾畠さんの自宅を訪れると、ご本人が取材に応じ、現在の生活について明かした。

 尾畠さんの現在の日課は、別府湾の海岸に打ち上げられたペットボトルや漂流物のゴミ拾いだという。

「海は干満があるので、潮の様子を見ながら活動しています。よくイルカなどの生物が浜に打ち上げられて、腹を裂いたらペットボトルが出てきたというニュースを聞くでしょう。人間がやっているとは言わないけど、二足歩行の動物が捨ててるんだろうと思いますよ(呆れ気味に)。このあたりの駐車場には、不法投棄が多いんですよ。

 食べ物やゴミだけでなく、子供のオシメなど、なんでもかんでも捨ててしまう。みんな目に見えるところだけきれいならいいっちゅう感覚なんですよ」

 自宅の部屋には全国から送られてきた感謝の手紙などが雑然と置かれていた。中には山口県で行方不明となった男児の家族からの手紙もあった。尾畠さんは、この男児を救出したことでメディアに取り上げられ、一躍有名になった過去がある。

「あの子も小学校1年になったと、ご家族から写真と手紙が送られてきてね。あの子(ランドセルを背負った写真を見せる)が当時2歳のときのことだからね。すっかり大きくなって、もう面影はないけど(笑)」
 白髪交じりの無精ひげで笑いながら話す尾畠さんだったが、それは突然の告白だった。

「去年の5月に白内障だか緑内障だかよう知らんけど、もう右目が完全に見えなくなりました。以前は視力も良かったんだけど、ここ数年でガクンと悪くなってね。

 去年、免許を更新したけど、片目でも大丈夫と言われて、今でも90ccのカブは毎日乗ってます。大型一種の免許は更新できなかった。前はダンプもミキサー車でもなんでも運転してたんだけどね」

 長年、体を酷使したためか、病で右目の視力を失っていた尾畠さん。そして体からは癌も発見されたという。

「目が悪くなったついでに全身を検査したんですよ。そうしたら胃袋と食道が繋がるところに癌が見つかった。でも腹を裂かずに内視鏡っていうのかな、それで癌を切りました。なんだかんだ1週間くらい入院したかな。でも帰ってきたらすぐにゴミ拾いは始めましたよ(笑)。今はすっかり元気で飯を食うてます(大笑)。息子も近くにいるし、娘が2日に1回は料理を持ってきてくれますから」

 右目の失明と癌を乗り越えた尾畠さんにはこんな目標があるという。

「去年も熊本の益城町の土砂災害があった際に現地入りしてボランティア活動したし、体調はもう大丈夫ですよ! 事故で故障した車は修理に1カ月かかるみたいで、車が戻ってきたらすぐにとはいかないけど、体と相談して、現地に向かうつもりでいます」

 そう語る尾畠さんは、家庭菜園で採れたというカボスが入りの特製飲料を飲みながら、車の修理が終わるのを待っている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/86d6b5271b971c83b1e8036af69b38ae1210c67d