地下鉄ホームドア、公務員のひらめきで車両改修20億円→270万円

複数の鉄道会社が乗り入れる東京都営地下鉄にホームドアを設置する。
問題になったのは、都の分だけで20億円と試算される車両改修費だった。それが、ある公務員のひらめきで、わずか270万円に収まった。

東京都交通局が管理する都営地下鉄4路線の全駅で2023年、ホームドアの設置が終わった。最後まで残っていた浅草線は、
京浜急行、京成電鉄、北総鉄道、芝山鉄道の4社が乗り入れており、他の3路線と比べて多い乗り入れ会社の数がネックとなっていた。

都営地下鉄では従来、無線を用いて、車両の扉とホームドアを連動させるシステムを用いてきた。
浅草線で導入すると、車両改修費は都の分だけで約20億円と試算され、他の4社も1編成あたり数千万円。
システム整備時に車両が使えなくなる課題もあり、代替策が模索されていた。

繰り返した実験、技術の「生みの親」も同席
担ったのが、当時、ホームドアの技術開発を担当する統括課長代理だった岡本誠司さん(63)=現・信号通信課長代理、車両電気部フェロー。

レーザーセンサーで扉の開閉を読み取る仕組みを考えたが、確実性がいまいちだった。これという案になかなかたどり着けず、
そのうち、経営会議で上司から「まだ設置できないの?」と問われるように。
乗務員による手動開閉まで検討したが、停車時間が延びてダイヤが乱れてしまう恐れがあった。

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https://www.asahi.com/articles/ASS1Z54W3S1LOXIE031.html