>>833
「燃え上がる檳榔毛(びろうげ)の車の中で
上﨟(じょうろう)が苦しむところが、
どうしても描けません。私は見たものしか描けません。
車を燃やして見せてください」と訴えた。

さらに「もし、できることなら」と
言いかけたところで、大殿は笑って
「お前の望み通りにしてやる。
あでやかな女を一人、上﨟の装いをさせて乗せてやろう。車のなかで女がもだえ死ぬところを
描こうとするとは、さすがだ」と言った。
それを聞いた良秀は青ざめ、低い声で礼を述べた。