ゼレンスキー氏による人気の高い陸軍司令官の解任は巨大な政治的賭けであり、キエフの絶望感の高まりを反映している
分析| ヨーロッパ
Feb 09, 2024
ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領によるウクライナ軍司令官ワレリー・ザルジニ将軍の解任は、ゼレンスキーにとって巨大な政治的賭けであり、キエフの絶望的な雰囲気の高まりを示しているようだ。この動きの背景には、昨年のウクライナ攻勢の失敗と、責任転嫁とウクライナの将来の勝利を約束する新たな戦略を策定する試みがある。

昨年のウクライナの敗北によって、ワシントンでは、米軍や一部のウクライナ人たちが、もしザルジニーが彼らの(と思われる)忠告を聞き入れ、(数カ所で同時に攻撃するのではなく)狭い戦線に兵力を集中させて攻撃していれば、ウクライナ軍は突破できたはずだと、かなり信用できない責任のなすりあいをするようになった。

これはかなり奇妙な議論である。というのは、ロシア軍が侵攻直後に数回試みたのはまさに狭い前線に対するこのような攻撃であり、それが度重なる災害を招いたからだ。それは、米国の衛星諜報機関がウクライナ人に地元のロシアの集中を特定し、順番に集中させることを許可したのと同じように、ウクライナ人が攻撃している場合にはロシアの衛星諜報機関も同じことをするという事実を無視している。

真実は、2023年の夏までにウクライナ軍には、多数の十分武装した敵が配置する厳重に要塞化された戦線を突破できるほどの人的資源と火力の優位性をまったく持っていなかったということである。このような困難をものともせずに成功したことは、軍事史において極めて異例の出来事だっただろう。また、ウクライナ人が将来的に成功できるという大きな見通しもない。というのは、たとえ来年にかけて西側の新しい兵器を受け取ったとしても、ロシアはその一年をさらに防衛線の強化に費やすことになるだろうからである