春節スタート、中国本土からの訪日客は回復鈍く…爆買い期待のドラッグストア「肩すかしくらった」
2024/02/10 15:10

 台湾や香港を含む中華圏の旧正月「春節」に伴う大型連休が10日、始まった。新型コロナウイルスが感染症法上の「5類」に移行してから初めての春節で、関西の観光地では台湾や香港からの旅行者の姿が目立つが、景気低迷などで中国本土からの戻りは鈍い。旅行業界では、富裕層向けのツアーに商機を見いだす動きも出ている。

 春節は旧暦の1月1日にあたり、中国本土や台湾、香港などの中華圏で重要な祝日の一つとされる。この前後は連休となるため、コロナ禍前は多くの中国人らが観光地に押し寄せた。

 コロナ禍前は、中国人が化粧品などを大量に購入する「爆買い」が目立った大阪・ミナミ。一帯で複数の店舗を展開する大手ドラッグストアによると、中国人客数は今もコロナ禍前の半分にも満たないという。担当者は「肩すかしをくらった」と語る。

 背景には、長引く不動産不況などによる中国の景気低迷に加え、日中間を結ぶ国際線の回復が十分に進んでいないこともある。関西空港を運営する関西エアポートによると、1月29日~2月4日に中国本土とを結ぶ便は計220便と前年同期の25倍超となったが、コロナ禍前の4割にとどまる。

 中国ではゼロコロナ政策が終了した昨年1月、個人の海外旅行を再開し、昨年8月には日本行きの団体旅行を解禁した。だが、その直後に始まった東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を巡り、中国政府は日本産海産物の輸入を停止。中国国内の旅行会社は日本向けの団体ツアーの売り出しを控えているのが実情だ。

 りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「中国の景気低迷で訪日客の多くを占めていた中間所得層の懐具合に余裕がなくなり、割高な海外旅行から国内旅行にシフトしているのではないか。訪日客の回復には時間がかかるだろう」と指摘する。

 旅行業界では、客単価の高い富裕層向けサービスに活路を見いだす動きがある。

 旅行コンサルタント会社「mingle」(富山市)は今回の春節に合わせ、中国人富裕層向けに1人1000万円の関西ツアーを企画し、1組から申し込みがあった。スキー場を貸し切りにするなど3種類の旅程があり、小林智樹社長(55)は「景気停滞の中でも来日できるのは裕福な層だけ。彼らが本気で楽しめるツアーを考えた」と話す。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240210-OYT1T50106/2/

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