パビリオン設計を担当する1級建築士は「万博反対の論陣を張るつもりはないが」と前置きしつつ、こう明かす。

「私が聞く限り、周囲の設計・施工関係者は、おしなべて開催延期を望んでいます。来年4月開催に向けて無理をしても、得るものは何もない。自前でパビリオンを用意する国は約60カ国あり、今から着工してギリギリ間に合うかどうかなのに、着工に必要な詳細設計が完成しているのは半分以下。3分の1は設計にすらこぎつけていません。海外パビリオンは各国の設計担当者が作成したものを日本の建築基準などに合わせて作り直す必要があり、どうしても準備に時間を要する。タイトな日程を強いられる中、すでに設計関係者も施工関係者も夜通し作業を余儀なくされており、多大なストレスを抱えている惨状です」

 4月から建設業にも時間外労働の上限規制が課されるが、すでに現場関係者は疲労困憊。工期の遅れと差し迫る残業規制の板挟みに陥っている。

「少なくとも半年は開催を延期してほしい。このままでは会場建設に携わる人員の事故や自殺につながる恐れがあると危惧しています。4月から各種パビリオンの本格着工が予定されていますが、会場の夢洲は搬入・搬出用の車道が片側1車線に限られるばかりか、上下水道・電気などのインフラも整っていない。どう考えても異常です」(前出の1級建築士)

 東京五輪の準備では、過労自殺を含め建設現場の作業員4人が亡くなった。万博でも同じ悲劇を繰り返すのか。https://news.yahoo.co.jp/articles/35054c5f982b4f2faf1692dd80cb64c5061186bc