平均時給230円 障害あっても“最低賃金を” あるチョコブランドの取り組み「ちゃんと向き合える社会に」

平均時給230円。政府は賃上げ実現を繰り返し訴えますが、障害を抱える人の賃金は低いままです。従業員の6割が障害を抱えるチョコレート専門店の取り組みを取材しました。

チョコレートの甘い香りが店内を包み込むこちらのお店。色とりどりのチョコレートがお店に並びます。

リピーターの客
「この前はミルクとホワイトチョコで、きょうはチョコとストロベリーで」
「(お母さん:どう?)おいしい!」

調理場をのぞいてみると、バレンタインデーを前に大忙しです。フルーツのカットや、茶葉の粉砕などの作業が行われています。

従業員
「忙しいです。バレンタインデーもホワイトデーも手を止められないので」

働いている人のおよそ6割が障害を抱えています。

一般的に、心身に病気や障害があり、就職が難しい場合、「就労継続支援」という形で働き、単純作業・給料も安いことが多いですが、ここは違います。

従業員
「6、7ミリだったらこうやって大きく切れば良いので。5ミリは大きくなったり小さくなったりする」

こうした作業はこれまで外注していましたが、工程を細かくわけて分担し、自社ですべてを完結させることで費用が浮き、その分を給料に回しています。

心身に病気や障害があり、雇用契約を結ばない「就労継続支援B型」の月額工賃は平均1万6507円、時給にすると233円です。

しかし、このお店では、障害の重さや仕事の内容を問わず、時給は500円以上で、月額の給与は5万円を超えます。

「(Q.給料が上がったら何をしたい?)東京とか行ったことないので行ってみたい」
「(Q.次に欲しいものは決まってる?)決まっています。(Q.何が欲しい?)(ニンテンドースイッチ)スプラトゥーン3!」

代表の夏目さんは、障害の重さにかかわらず、地域の最低賃金を目指すと話します。

久遠チョコレート 夏目浩次代表
「1026円が愛知県の最低賃金だったら、そこを目指すということ。どれだけ障害が重たくてもそこへいく。そのためにはどうするか」

一方、岸田総理は今年の施政方針演説で賃上げの実現を訴えましたが。

岸田総理
「今年、物価高を上回る所得を実現していきます。実現しなければなりません」

障害者の賃金格差の是正について、語られることはありませんでした。

久遠チョコレート 夏目浩次代表
「(月額工賃)1万円はやっぱりおかしい。それは本当にやりがいにはなってないだろうし、やっぱりおかしいものはおかしいねって、ちゃんと向き合える社会にしていきたい」

https://news.yahoo.co.jp/articles/14108e045b0a5cf3423756136eb1e1eff1774ed9