大西洋の海洋循環システム崩壊の恐れ

地球規模の温暖化で大西洋の海水循環システムが想定よりも早く崩壊に向かう可能性があるとオランダの研究チームが科学誌に発表しました。

大西洋にはAMOCと呼ばれる地球規模の海水循環システムがあり、メキシコ湾流もその一部です。

AMOCによってヨーロッパでは高い緯度の場所でも温暖な気候が保たれるなど、北半球の気候に大きな影響を与えています。

ところが、温暖化などで氷河など陸の氷が溶けて海水の塩分が薄まるとAMOCの循環が崩壊する恐れのあることが近年、科学者らの研究で明らかになりました。

科学誌「サイエンス・アドバンス」は9日、オランダ・ユトレヒト大学のベステン教授らがAMOC崩壊を早期にキャッチする方法を発見し、すでに崩壊の兆候が現れているとした研究結果を掲載しました。

AMOCが崩壊した場合、ノルウェーのベルゲンでは2月の平均気温が100年間で30度下がるなどヨーロッパ北西部の気温が急降下するほか、地球規模で海面が1メートル上昇する可能性があるなど甚大な影響を及ぼす恐れがあります。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は2022年の報告書でAMOCは21世紀後半に減速すると予測していますが、デンマークの研究者は去年、科学誌でAMOCは2025年から2095年のある時点で崩壊するだろうと予測しています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7213c57fe02c1c05f1dffa304a02f2aa1a597c5e