ジョニー・キムさんは米海軍の特殊部隊「ネイビーシールズ」要員からハーバード大医学大学院に進学し、その後NASAの宇宙飛行士に選ばれた苦労と努力の人で、若い韓国系米国人のシンボルの一人に挙げられる。このほど米国のオンライン放送「ジョコ・ポッドキャスト」に出演したキムさんは「私は父に対して悪い感情を抱いておらず、父による虐待を許した」と幼少時代を振り返った。キムさんは自身が海軍の特殊部隊「ネイバーシールズ」に志願した理由について「(私が)飛行機から飛び降りて祖国に尽くすためかといえば、それはうそ」とした上で「私のアイデンティティーを見い出し、(父から)弟と母を守りたかったため」と話した。

1980年代初めに韓国から米国に移住したキムさんの父は、ロサンゼルスで酒類販売店を営んでいた。キムさんは「父は(人間に内在された)悪魔をコントロールする精神力を持っていなかった」「父の言語的・肉体的虐待は主に母に向けられ、私は小さいころ(父に対する恐怖から)いつも眠りにつくのが怖かった」と話した。

 問題は、キムさんが入隊を控えた2002年2月21日に起きた。キムさんは「あの日の昼間、帰宅した父からウイスキーの匂いがして、ひどく酔っていた。今回は何かが違うと感じた」と話した。父親は突然キムさんに「すまない」と言った後、催涙スプレーを顔に噴射し、キッチンでは母親が「お父さんが銃を持っている」と騒ぎ始めた。キムさんは父親を止めようとしたが、父親はダンベルをキムさんの頭に振り下ろした。その後、母親の通報で警察が駆け付けた。警察は屋根裏部屋に上がり、しばらくして銃声が聞こえた。