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道路の下から何度も「助けて」の叫び声 いったいどこから声が…救出劇の一部始終 富山

7月25日の夜、富山市の住宅街で、何度も「助けて」の叫び声が響きました。自宅の中で声を聞いた男性は外へ出ますが、なんと道路の下から助けを求める声が聞こえたのです。いったい何があったのでしょうか。

第一発見者の男性:「部屋にいるときに、助けてという声がどこかから聞こえてくるなと。なんだろうなと思って外に出てみたんですけど」


声が響いたのは25日の午後8時ごろ、富山市大泉北町の自宅で30代の男性がテレビを見ていたところ、大きな声が聞こえてきました。「けんかでもしているのかな」そう思いながらテレビを見続けましたが、2,3分経っても声が止みません。男性はテレビを消して、耳をすませます。すると聞こえてきたのは「助けてー」という声。慌てて外に出ますが、助けを呼ぶ人の姿が見えません。


男性は家にいた60代の父親を呼び、いっしょになって探すと、道路の下から声が聞こえてきたのです。
警察と消防が到着…救助されたのは
どうやら道路の下に続く用水路から助けを求めているようです。


午後8時12分ごろ、2人は警察に110番通報します。その間、「大丈夫ですか」と声をかけ続けました。3分ほどした後に警察官が到着、その後、消防隊員も到着して、救助活動が開始されました。


消防隊員がロープを体に巻き付け、用水路から道路下の「暗きょ」に入っていきます。サイレンを聞いて集まった人たちが、救助の行方を見守ります。

午後8時28分、消防隊が全身ずぶ濡れの男性を連れて、用水路の中から現れました。男性が声を聞いてから30分近くが経っていました。


第一発見者の男性:「(用水路の)だいぶ奥だったみたいで目では普通に見えないぐらい奥に(男性が)いた」


消防などによりますと、救出されたのは97歳の男性でした。男性は用水路に落ちて、道路の下まで数十メートル流されたとみられます。男性は救急車で運ばれましたが、命に別状はありませんでした。
97歳の男性が用水路に落ちた原因は

第一発見者の男性は、97歳の男性が無事助かったとの連絡に「よかった」と胸をなでおろしました。

現場には97歳の男性の自転車が残されていました。現場から北東に4キロほどに離れた自宅から乗ってきたとみられ、家族から警察に行方不明届が出ていたということです。


現場の用水路は、富山市中心部を流れる「いたち川」につながっていて、県内最大の河川・神通川に合流します。もし流されていたら、大変な事態になりかねませんでした。近所の人によりますと、この用水路では去年秋ごろにも、若い女性が用水路に転落し死亡する事故があったといいます。

そしてきょう、97歳の男性の家族が、第一発見者の男性のもとを訪れ、直接、お礼をしたということです。家族によりますと、男性は認知症で、徘徊をしていたということです。