香港てこ入れ政策、出鼻で挫折

 その一方、香港政府がメッシの一件で過敏な反応をとったことの背後にはもう一つの要因がある。実は香港政府は外資と外国人の香港離れと香港経済の衰退を食い止めるために、「盛事経済=盛大なるイベント経済」というキャッチフレーズの下で、今年からは国際的スポーツ試合や文化的イベントを盛んに開催するプランを立てている。今年上半期だけでも80以上の「盛事」が開催される予定である。

 実は、メッシが入っているインテル・マイアミを香港試合に呼んだのはまさにこの「盛事経済」計画の第一弾であって、要するに香港政府の「メッシ利用」であるが、結果的には、メッシが行った事実上のボイコットによって、香港政府はメンツ丸潰れとなっただけでなく、香港の「盛事経済」は出足から挫折を経験した。実際、前述の環球時報社説もやはり、メッシの行動を「外部勢力による盛事経済潰し」の一環ではなかと推測している。

 「神の子」メッシは一体どうして、香港に対してボイコット的な行動と態度をとったのかは不明だが、客観的に見れば彼は習近平独裁下の中国と香港による「政治利用」に背を向けた。われわれからすれば、それこそは大いに称賛すべき立派な行動ではないのか。