免震化で被害なし 耐震化は被害 明暗分かれた建物 能登半島地震

 最大震度7を観測した能登半島地震では、家屋損壊被害が6万棟を超え、今も多くの人が避難生活を送る。南海トラフ地震が懸念される東海地方で、今後必要な備えは何か。今月4、5日、耐震工学が専門の名古屋大名誉教授・福和伸夫さんの現地視察に同行した。

 5日は、震度6強を観測した七尾市の恵寿総合病院を訪ねた。入院患者の転院を余儀なくされた病院もあったが、ここでは、地下に揺れを吸収するゴムを設置した免震構造の本館に損傷がなく、医療の提供を継続できた。隣の棟は多くの損傷が目に入り、差は歴然だった。

神野正博理事長によると、他の病棟も耐震化はしていたが、天井がはがれ、物も散乱したため入院患者を本館に移した。同病院では、本館の新築を検討していた11年に東日本大震災があり、免震化を決断した。この地震でも棚の上の物すら落ちなかったという。神野理事長は「免震化して良かったと心から思うが、高額なため病院が自力で進めるのは相当難しい」と話す。

耐震化では揺れを免れることはなく、福和さんは「揺れで設備が壊れたら診療はできない。病院は揺れない建物にすることが重要」と訴える。愛知県によると、県内の病院の免震化率は14%。
国は免震化に特化した補助制度は設けていないが、福和さんは「甚大な被害が想定される南海トラフ地震に備え、免震化への補助を用意すべきだ」と提言する。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b830b58b0fc08cf9ff56cf05a418009998687c80