「見た目はかわいいけど」庭の果実食い尽くすリス、洗濯物も汚す…鎌倉では過去最多ペースで捕獲

神奈川県内で特定外来生物のタイワンリスによる被害が深刻化し、今年度、鎌倉市では過去最多のペースで捕獲されている。生息域も広がるなか、県は4月からの運用を目指して防除実施計画の策定を進める。家屋、農作物、生態系などへの影響もあり、専門家は早急な対策の必要性を訴える。

 「見ない日はないほど。たくさんいますね」

 2月上旬の夕、鎌倉市の山あいにある住宅街で暮らす男性(83)は語った。庭の果実は食い尽くされて皮だけが残っている。道路に散らかった食べかすの掃除も余儀なくされ「見た目はかわいいけど。通行にも支障が出る」と嘆く。

 タイワンリスは、国内では動物園から逃げ出して定着したとみられる。洗濯物が汚されたり、電話線がかじられたりするほか、樹木や野鳥への影響もみられるという。

 鎌倉市は2009年から捕獲に乗り出し、今年度は11月末時点で1553匹を捕獲。市や県によると、過去最多ペースで推移している。神奈川県内では三浦半島や藤沢、横浜、川崎市でも生息が確認されているという。

 生息域拡大を防ぐため、県は防除実施計画の策定を進めている。タイワンリスの定着状況について「高密度区域」「分布拡大区域」「侵入警戒区域」に3分類し、それぞれの区域で具体的な捕獲の目標や啓発活動などを定める。箱わなの設置を届け出れば、捕獲の許可は不要とする。4月にも運用を開始する予定で、県自然環境保全課の小川登史子グループリーダーは「市町村と連携し、広域的な対策を講じていく」と話している。

 環境省によると、タイワンリスは静岡、岐阜、長崎県などにも定着。今年度からはタイワンリスを含む特定外来生物への自治体の対策事業に交付金も創設し、9自治体がタイワンリス対策として交付金を申請したという。

 熊本県中部の宇土半島では10年頃に最大5000匹程度いたが、行政や地元猟友会などの連携で22年には「根絶した」という。取り組みに参加した森林総合研究所九州支所(熊本市)の安田雅俊・森林動物研究グループ長(55)は「一定の水準までは徹底した駆除で封じ込めは可能」と指摘。温暖化によって生息域が北上する可能性もあるとして、「分布がまだ限られている今の時点での対策が重要」と呼びかける。

 ◆タイワンリス=クリハラリスとも呼ばれる。台湾や東南アジア原産で、頭から尾までの体長は40センチほどで果実や鳥の卵などを餌とする雑食。生活環境のほか、生態系への影響も懸念されている。2005年に特定外来生物に指定された。

https://news.yahoo.co.jp/articles/01effda74952293a00c3cdc7d1150e14947b640b

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