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天下の「TENGA」に戦わずして勝つ…21歳女子大生が立ち上げた男性向け「オナホメーカー」が後発でも売れたワケ

ビジネスで競合に勝つための方法は何か。起業家の神山理子さんは「定番ブランドがあっても、参入していないセグメント領域を見つけて参入できるかどうか見極めることが大切だ。私がオナホD2Cを始めた21歳当時、オナホブランド『TENGA』は使い捨てタイプで知名度が高かったものの、何度も洗えるタイプに定番ブランドは存在していなかった」という――。
※本稿は、神山理子『女子大生、オナホを売る。』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

■「狂った熱量」は事業を伸ばす上で強い武器になる
他社が参入しづらい領域を選ぶことも大切ですが、このときに参入障壁になる要素としては「自分の強みが活かせる」や「他社がコンプライアンス的に参入できない」などが挙げられます。

私がやっていた音楽メディアの場合、私が元々音楽をずっとやってきていることに加え、収益化をしていて、音楽に対しての知見や熱量が人よりもかなり多いという強みがありました。

「自分の得意分野である」というのは、新規参入の際に考慮してよい条件です。

「人よりもめちゃくちゃ好き」という狂った熱量は、事業を伸ばす上で想像以上に強い武器になります。

ここで重要なのは人よりも“めちゃくちゃ”好きということです。

「人並みに好き」程度では強みにならず、人がついていけないくらい狂ったように好きで初めて、競合と戦える武器になります。

オナホ市場の場合、当時はWebマーケティングで圧勝しているオナホメーカーがまだ存在していませんでした(最近ではWebマーケティング発のD2Cブランドが増えていますが、オナホ市場ではWebマーケティング発のD2Cブランドはまだ存在していなかったのです)。

昔ながらの老舗メーカーが多く、「Webでも販売はしているものの、主な販路は小売店」という販売会社がほとんどでした。

つまり、私が得意なWebマーケティングが強みになるということです。

さらにアダルトグッズだと、「上場企業」や「上場を視野に入れている企業」が参入できないという「他社がコンプライアンス的に参入できない」という障壁もあります。

そのため、市場規模が大きいにもかかわらず、競合数が少ないのです。

■事業が拡大したときのための備え
事業が伸び始めると、参入障壁を突破してくる(模倣する)企業が現れるため、事業考案段階でそのリスクヘッジも同時に考える必要があります。

ベンチャー企業が市場開拓をし終わったタイミングで、大手が参入して資本力で殴られて全滅なんてこともあります。

しかしアダルト領域においては、「上場企業」または「上場を視野に入れている企業」はそもそも競合対象外になるため、後発の競合にシェアを奪われる可能性は通常の商品よりも低いのです。

「他社にはない自分の強みがある」「他社がコンプライアンス的に参入できない」などの参入障壁は、競合対策として重要な視点になります。

オペレーションコストを少しでも減らすため、製造過程が単純で、製造難易度が低い領域だとさらに参入しやすいでしょう。

オナホの製造方法は「金型に素材を流し込んで固める」というとてもわかりやすい方法です。

精密機械や消費期限のある食品とは異なり、製造から発送までのオペレーションが組みやすいのです。

■勝敗を分ける納品スピードが出せる商品か
また製造しやすい商品だと、納品スピードも早い傾向にあります。

最短で商品を発売したり、商品改良のサイクルを早めたりできるため、PDCAが回しやすく、Webマーケティングとの相性も良いです。

特に流行に左右されやすい商品は、発売までのスピードが勝敗を分けます。

「企画段階では絶対イケる市場だったのに、開発に時間がかかって発売する頃には流行が終わっていた」なんてことを避けるために、納品スピードは必ず確認するべきです。