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その後の調査で、トンネル内部を支えるために一定間隔で取り付けられるアーチ状の鋼材「支保工」(約700カ所)のほとんどが設計位置とずれていることも判明。さらにトンネル空間の中心線は、通常は設計図からプラスマイナス5センチの誤差に収まるはずが、最大約14センチずれていた。

「レーザースキャナーや写真測量などの最新機器が十分に活用されておらず、まるで昭和30年代の工法のようだ」。現地調査を行った検討委委員長の大西有三・京都大名誉教授は驚きの声をあげた。

◆権限集中の現場所長「叱責される」

検討委は、測量段階でずれが生じていたほか、コンクリート壁の厚みの管理不足、支保工の設置位置の不良などがあったと指摘。「測量機械などの使用方法を理解していない技術力不足があり、コンクリートを設計通りの厚さにしていないなど倫理観の欠如がある」(大西名誉教授)とした。

検討委が示した補修方針は「内部のコンクリートを剝がし、新しい支保工を所定の位置に正確に設置し直す」と、ほぼ全面的な工事のやり直しだった。