蕨駅(埼玉)にほど近い住宅街の古びたマンション一室に、イスラム教徒が続々と吸い込まれていく――。
実はこの部屋、モスクなのである。昨年12月中旬、このモスクに礼拝に来ていたバングラデシュ人のタレク・マハムドさんが流暢な日本語でこう打ち明けた。

「毎週金曜日、ここにイスラム教徒が集まっています。その9割近くがバングラデシュ人。近年、蕨に住むバングラデシュ人は増え続けていますが、
一方で『祖国に帰りたい』という人も多い。物価が上昇しても給料は上がらないし、外国人なのに年金の掛け金も取られるから、生活はギリギリですよ……」

約8500人と蕨市は人口の11.3%が外国人だ。近年はバングラデシュやベトナム人の増加が顕著で、彼らは各々でコミュニティを形成している。
「ワラビスタン」という造語が生まれるなど、クルド人も多く暮らしている。多国籍化が進むこの地で暮らす外国人たちは何を思うのだろうか。その実情を探った。

蕨市の不動産屋を回ると外国人NGの店舗が多い。理由を聞くと、「家賃未払いで“飛ぶ”外国人がいたせいで、オーナーが嫌うようになったんです」という。
外国人人口が急増した弊害だろう。それでも、外国人への仲介OKという不動産屋も蕨市にはたしかに存在した。

「蕨の家賃相場はここ数年で10%以上も値上がりしました。一人暮らしだと月7〜8万が平均になっています。
お客さん1〜2割くらいが外国の方。トルコ系やアジア系の方が増えていますね。蕨は県内でも地価上昇率が非常に高く、
決して家賃は安くないのに、なぜこんなに外国人が増えているのか。わたしたちも明確な答えは持ち合わせていないんですよ」

蕨駅東口を出ると、すぐにインターネットカフェが見えてくる。ここは住居登録ができるネットカフェとして、
’08年ごろからメディアで大きく取り上げられた店だ。住民票登録や郵便物受取代行まで可能で、
月々6万円ほどで「居住地」として過ごすことも可能だったという。ただ、店員によれば「2〜3年前に住民票サービスは廃止になった」
https://news.yahoo.co.jp/articles/eb53c3d2eaf04cd3aed79612f123fd51451938d8