プーチンの核恫喝に屈し続けたアメリカ、首の皮一枚・ウクライナ危機の真実

(前略)

なお、アメリカのミリー統合参謀本部議長はハルキウ州とヘルソン州西岸の奪還の段階でウクライナがロシアと停戦交渉を開始する可能性を示唆したが、それはバイデン政権内のコンセンサスではなく、西側の戦車や歩兵戦闘車両の供与を約束されたウクライナは奪われた領土の回復を目指して反転攻勢を選んだ。

ただアメリカは、この昨年6月からの反転攻勢で、クリミアを含むロシアによる全ての占領地域をウクライナが奪い返すことは想定していなかった。そのためにはロシア領内に到達可能な長射程のミサイルなどが不可欠だが、それはロシアとの核エスカレーションのアクセルを踏むことになるからだ。ウクライナに適度に勝って貰って、ロシアを疲弊させて、最終的にはウクライナにとってある程度、面子が立つ形の停戦和平の状況に持って行くというのが、反転攻勢の一番の目的だった。

そこでアメリカが描いたシナリオは、遅ればせではあるが南部を取り戻し、陸の回廊を遮断し、クリミアに何時でも砲弾が届くような形にしておいて、プーチンを交渉に引きずり出すというものだった。アメリカはウクライナ側にこれを実行させた。しかし、ロシアが防衛線をしっかり引いてしまった後では、それはうまくいかなかった。

ゼレンスキーは未だに支援国との協議の中で、「領土の一体性」を主張しているが、アメリカは、表向きはともかく、ウクライナによる領土の完全回復は想定していない。ある程度、ロシアを追い込んだ上で膠着状態におちいったら、朝鮮半島方式の決着を図るしかない。


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