中国が台湾への武力侵攻を試みた場合はどうか。

具体的に言及していないが、私は「トランプ政権が米軍派遣を命じる可能性は少ない」とみる。米国内には、専門家の間でも「台湾は米国の死活的国益なのか」という議論がある。ここでも、「米国第一」の考えを貫くとすれば、まずは台湾に自助努力を求め、次に日本の支援、そして最後に「米国に何ができるか」を慎重に検討するだろう。

ウクライナと欧州の関係のように、「もっとも中国の脅威にさらされる日本が台湾を全力で支援せよ」となるのが自然ではないか。

トランプ氏は2016年、米ニューヨーク・タイムズのインタビューで、「日本の核武装に反対しない」考えを語っていた。NATO同様、日米安保体制の見直しを言い出してもおかしくない。

これは、日本が憲法改正を真剣に議論する絶好のチャンスになる。

日本の歴代自民党政権は、口で「改憲」を語りながら、実際には実現できなかった。いまの岸田文雄政権は、なおさらそうだ。

米国が身を引く姿勢をにじませてから、慌てて動き出すのは情けない話だが、動かないよりはマシだ。トランプ政権の復活で、日本の保守層と保守政党は「中国に媚びを売り続ける」のか、それとも「大胆に自主独立の日本を目指す」のか、正念場を迎える。

はせがわ・ゆきひろ ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

トランプ氏復活なら…日本の「改憲」正念場に 米大統領選で優勢の予想 台湾有事に「米軍派遣を命じる可能性は少ない」
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