https://news.yahoo.co.jp/articles/622740776c8cb3d033da4a8a04e847d1d7a85d77
バス運転士不足で前日夜まで勤務枠が埋まらないことも…元運行管理者「運転士の割り振りはまるで終わりのない複雑なパズル」
バスの運転士不足が叫ばれる中路線バスを減便する動きが全国各地でみられています日本バス協会によれば12万1000人の運転手が必要なのに対し現状11万1000人とすでに1万人不足しておりその不足は今後さらに拡大していくそうです一方バスの運行管理者の経験を活かし交通系YouTuberとして活動しているのが綿貫渉さんですその綿貫さんによると今やバスの運転士不足が常態化しているため運行管理者が運転士に時間外労働や休日出勤を依頼し何とか勤務を組まなければならない状況にあるそうで
◆明日の運転士が決まってません!
「お疲れ様です引き継ぎをお願いします」
前任者の結城さんに声をかける
「おはよう明日の45番を運転する人がまだ決まってなくて……よろしく頼むよ」
運転士の勤務時間はバスのダイヤにより様々で勤務のパターンは中央営業所では100通りほどあった
1番は朝5時00分出勤昼の13時17分退勤2番は5時03分出勤昼の13時11分退勤といったようにバラバラで100通りあるなら毎日1〜100の勤務に誰かしら運転士が割り振られている*1
そして本来は運転する人が決まっていないという事態は発生しないしかし運転士不足が常態化しているため運行管理者が運転士に時間外労働や休日出勤を依頼して何とかして勤務を組み毎日100名の運転士を揃える必要がある
その100名が明日はまだ99名しか集まっていないので何とかしてあと1名集めてくれというのが結城さんの引き継ぎだ
◆運転士の割り振りは「組めないパズル」
引き継ぎを受け仕事を始める日中の時間帯はバスの遅れやトラブルなどは少なく落ち着いた時間帯だ平和な空気が流れている
ただし私の机だけは違う
明日乗務する運転士が決まっていないためだ世の中には放置しておけば自然と時間が解決する悩みも多くあるしかしこれは放っておいても何も変わらない
明日の該当のバスが運休になってしまい悲惨なことになるだけだとにかく明日の運転士をどうにかして見つける方法を考える
バス運転士の労働時間のルール(退勤から出勤は8時間以上あけるなど)が多くあるため単純に「俺がやるよ!」という人に頼めばいいわけでもなく法定時間に引っかからないように運転士を決める必要がある
ひとつの勤務を埋めるためにほかの運転士の勤務を何人もずらし何とか労働時間のルールに沿わせるということもたびたびあるまるで終わりのない複雑なパズルを解いているようだ
しかも理論上パズルが組めても肝心の運転士のOKがないとピースははまらないパズルよりも難解であるちなみに運転士の勤務枠を埋めるという仕事は本来の運行管理者の仕事ではない
明日乗務する運転士が決まっていないという状況は急な体調不良者が出るなどの場合に発生するものであり日常的には発生しないはずである
しっかり152名の運転士がいれば毎日のようにパズルを解く必要はなくもう少し余裕をもって仕事ができるのだが実際には142名しかいない
運転士不足によって運転士の1名あたりの仕事が増えるのはもちろんだがそれを支える運行管理者の仕事も増えているのである
1〜10番の勤務を15名の運転士で担当<『逆境路線バス職員日誌車庫の端から日本をのぞくと』より>
◆夜になってもまだ見つからない
勤務パズルを解きつつ日々入力する書類の作成も行うと夜になった
20時からの私の夕食休憩も終わり21時夜の帰宅ラッシュは19時前後がピークであるため21時となれば営業所の仕事も落ち着いてくる頃かと思うかもしれないが逆である
21時過ぎに夜ラッシュの運行を終えたバスが続々と帰ってくる私はというといまだ明日の運転士がまだ決まっていないこんな夜遅くになったらもうどうにもこうにも手が出ないのでは? と思うかもしれないがこの時間が最後のチャンスである
具体的にどうやって運転士を探すのかもちろん休みや退勤後で営業所にいない運転士に電話をかけて依頼するのもひとつだが職場を離れたら拘束時間ではないのでなるべく電話はかけたくない
休みを満喫しているのに職場から電話がかかってきたらいい気分はしないだろう快く電話に出てくれる運転士が大半だが職場を出ると電話をかけても出ない運転士もいるそのため営業所にいる運転士に直接声をかけて依頼するのがもっとも確実だ
もちろん今までに何もしていないわけではなく労働時間の制約を避けるために複数の運転士に明日の勤務時間をずれてもらう依頼をした
これで最後に21時30分に乗務を終えて帰ってくる運転士の猪俣さんに明日の休日出勤を頼めば無事にパズルが完成だ