ロシアのウクライナ侵攻に対し、日本はこれまでに1兆円超の支援を行った。しかし、国内の物価高などもあり、巨額の支援に疑問を持つ声が日本でも上がり始めている。あるアメリカの研究機関は、「支援停止でロシアが勝利した場合、平和維持コストは天文学的」との調査結果を発表している。



2024年度の国家予算は約112兆円。それに対しウクライナ支援は約1兆2000億円と、かなり力を入れているのが分かる。

岸田首相は19日にウクライナのシュミハリ首相を東京に招いて復興支援の会議を開催し、今後もウクライナへの支援を長期的に継続する考えを示した。

岸田首相自身、キーウを訪問して現地の状況を自分の目で見ている。

さらには、広島のG7でゼレンスキー大統領を日本に招いて濃密な時間を過ごしたり、ウクライナには強い思い入れがあるように感じる。平和記念公園で岸田首相とゼレンスキー大統領が一緒に献花するなど、この関係は非常に重要なものと思われ、積極的支援につながっている印象もある。

仮に、各国がウクライナ支援をやめた場合にどういうことが起きるだろうか。それを表す研究結果がある。

アメリカの調査機関「戦争研究所」は2023年12月の報告書で「支援をやめることでロシアが勝利した場合、平和を維持するコストは天文学的なものになる」との調査結果を発表している。

例えば、ウクライナが制圧された場合、ロシアはポーランドやルーマニアなどの国境に部隊を展開する。これを防御するためにアメリカやNATOは支援を上回る費用をかけて、防御態勢を取らなければいけない。

このようなヨーロッパの安全保障の影響は、もちろん日本にも及んでくる。アメリカが欧州に部隊を重点配備すると、東アジアへ送る兵力が減ることになる。

つまり、台湾海峡や北朝鮮の有事に対応する力がそがれる恐れがあり、日本の安全保障にも影響が出ることになる。

もう一つのケースとして、日本だけが支援をやめた場合はどのような影響が出るのだろうか。

その場合は、団結した西側のネットワークにひびが入り、日本が“仲間はずれ”とも言える形になる。今の支援が目に見える形でどういう風に役立っているか実感を持てないが、安全保障面では日本が西側である限り、ウクライナを支えることは人道的な観点からも必要だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/aed1d77798325f8c669542a3fef19ac839e6933c