町長によればつまり、問題の録音データには町長室に入ってから衣摺れの音がなかったのだという。

 この民事裁判での本人尋問から2か月後の今年1月22日、刑事裁判ではフリーライターの飯塚被告に対する判決が言い渡された。飯塚被告はそれまでの公判において「新井氏の告発を真実と信じ、信じるに足る相当な理由があった」として名誉毀損は成立しないと主張していたが、橋本健裁判長はこの主張を退け、「新井氏と相互に通じ合い名誉毀損に及んだ」と認め、懲役1年執行猶予3年の判決を言い渡した(求刑懲役1年)。

「被告人が新井氏と共謀のうえ、虚偽のスキャンダルを電子書籍に掲示し、町長の名誉を毀損した。この結果、虚偽が流布され、町長の名誉は著しく毀損された。犯情は悪く、軽く見ることはできない」(判決より)

 新井氏の虚偽告訴と名誉毀損の刑事裁判は、2024年2月現在もまだ開かれていない。そんな新井氏は、前述したやり取りの通り2023年11月の民事裁判の本人尋問で「町長との肉体関係はなかった」ことは認めているものの、同じ日の本人尋問のなかでは、また別の主張を繰り出しているのだ。以下のように述べている。

「最初は町長の話を、アドバイスを含め聞いていたんですけれども、だんだん私の体を触ってくるようになって上着の中に手を入れて胸を触られたりですとか、スカートから太ももを触られて、体を色々ベタベタ触られたということがありました」

 新たに“ボディタッチがあった”と証言した新井氏に対して、黒岩町長の代理人は「嘘のことを会見で発言し、町長に辞任を求めるあなたの態度について、今ここで反省しているということはないんですか」と追及。すると新井氏は「私が被害にあったことは間違いがないので反省はしておりません」と回答し、あくまでも“被害はあった”と主張した。
(略)