長年、「睡眠は脳によって制御されたシステムであり、脳のない動物は眠らない」と考えられてきました。しかし、近年「脳のないクラゲが眠る」ことが示されるなど、脳のない生物も眠ることを示す証拠が複数報告されています。そんな「脳のない動物の睡眠」に関する研究について、学術雑誌のScienceがまとめています。

他にも、「地球上で最も単純な動物」とも言われる板状動物の行動速度が夜間に減速することが観察されたり、複雑な神経系をもたない海綿の一種であるAmphimedon queenslandicaで「睡眠に関わることが知られている遺伝子の発現が24時間周期で切り替わる」ことが確認されたりと、「脳のない動物も眠る」という証拠が数多く示されています。

これらの研究成果から、「睡眠は脊椎動物が出現する前の時代から進化してきたシステムである」という考え方が広まりつつあります。セントルイス・ワシントン大学で神経生物学を研究するポール・ショー氏は、「環境に反応する方法を進化させるまでは、初期の生物は『反応』しませんでした。私たちは睡眠を進化させたのではなく、覚醒を進化させたのだと思います」と述べ、生物のデフォルト状態は「睡眠」であったと指摘しています。

https://gigazine.net/news/20211108-sleep-brain/