埼玉県に住む中山浩之さん(37歳・仮名)は先日、74歳の父親と電話で口論になったという。

「妻と相談して戸建てに住み替えようと考えたのですが、最近はとにかく不動産が高い。父に頭金をいくらか援助してくれないかと頼んだら、
『うちだって懐が厳しいんだ。なんでお前はちゃんと貯金していないんだ』と怒り出してしまって……」

大手メーカーに勤める中山さんは年収700万円と、決して薄給というわけではない。
ただ、同じ年収700万円でも、手取り額が平成中期までは約600万円だったところ、令和のいまは約550万円と、50万円も減っている。
これではなかなか貯金もはかどらないが、中山さんの父が、そのような現状を知るはずもない。

なぜサラリーマンの手取りはこれほど減っているのか。「主犯」が、給料から天引きされる社会保険料だ。

中山さんの父が40代でバリバリ働いていた'90年代には、社会保険料率は20%足らずで、ボーナスもほぼまるまる懐に入っていた。
ところが'00年に介護保険法が施行され、'04年には厚生年金保険の料率引き上げが始まった。いまや給与所得の約30%、つまり3分の1近くが強制的に召し上げられている。

言うまでもなく、その使い道の大部分は医療、年金、そして介護―大半が高齢者向けの社会保障である。国の財政に詳しい、関東学院大学教授の島澤諭氏が言う。

「いまの日本の財政は、まさに『戦時中』というべき状態です。太平洋戦争の開戦前夜、1940年には国の予算の50・3%が軍事費に使われていました。
それが、いまでは歳出の3割+国債費の約6割+地方交付税交付金の3割、あわせて国家予算の50%以上が社会保障費に充てられている。
私たちは国の存亡をかけて『社会保障と戦争している』と言っても過言ではありません」

https://gendai.media/articles/-/119417



社会保険の負担は40年で4倍に