東京電力福島第1原発事故(2011年)で風評被害を受けたとして、大分県内のシイタケ生産者ら966人が東電に損害賠償を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、県椎茸(しいたけ)農業協同組合(大分市)は4日、和解が成立したと発表した。和解は1月24日付。組合側に計約4億200万円を東電が支払った。

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 生産者らは19年7月、事故前は1キロ当たり4000円を超えていた県産乾(ほし)シイタケの価格が、風評被害の影響で13年には2427円まで落ち込んだなどとして、約26億円の損害賠償を求め、国の原子力損害賠償紛争解決センターにADRを申し立てた。

 生産者側は、事故発生前5年間(06~10年)の平均単価と、事故翌年から3年間(12~14年)の単価を比較して、被害額を算出。一方、センターは、価格の下落要因は風評被害以外にもあるなどとして、賠償額を決めたという。

 申し立てに関わった同組合の阿部良秀・前組合長は記者会見で「農林水産業に携わる人にとって風評被害は大きい。生産者が苦労した事実を消費者の皆さんに分かってもらいたい」と話した。【石井尚】


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