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カエルの体からキノコ生える、初の事例に研究者も困惑 インド

インドのカルナータカ州にある道路脇の池で、生物研究者のグループが脇腹から小さなキノコの生えたカエルを発見した。

専門誌に1月発表された研究ノートによると、一見健康そうなカエルにキノコが生えた事例はこれまで記録されておらず、どういった経緯でキノコが生えたのか研究者は困惑しているという。

ベンガルール(バンガロール)に拠点を置く世界自然保護基金(WWF)インド支部の専門家、ロヒト・Y・T氏はメールで「キノコの生えたカエルを最初に目にした時は驚き、その光景に魅了された」と振り返った。

Y・T氏はカエルを見つけた一行に加わっていた。「聞いたことがない現象だったので、まずは記録しておこうと思った。とにかくレアケースであってほしい、カエルの身に危険がなければいいのだが、という思いだった」という。

このカエルは「ゴールデンバック・フロッグ」の一種で、学名はハイララナ・インテルメディア。インド南西部のカルナータカ州やケララ州で多く見つかる。小さなカエルであり、成長しても体長は約7.4センチにとどまる。

一行が観察していると、カエルは小枝の真ん中から先端に移動し、向きを変えて動いたが、キノコはそのままだった。一行がカエルに触ることはなかった。

研究ノートの著者らがこのカエルを見つけたのは2023年6月。捕獲しなかったため、キノコが生えた原因や、カエルがどうなったのかは分かっていない。

しかしその後、菌類学者が写真を通じ、カエルの脇腹から生えていたキノコを「クヌギタケ」と特定した。クヌギタケは大抵、枯れ木の腐った部分に生える。生物の遺体を分解する腐生菌であり、通常は枯死または腐敗した有機物から栄養を取る。ただ、2023年の研究で、生きた植物を糧に成長する生態に進化できる可能性が判明した。

23年の研究ではさらに、クヌギタケが生きた植物や樹木と共生関係を築けることも示唆された。クヌギタケは宿主の植物から栄養を摂取することも、宿主に栄養を与えることもできる。樹木の場合、クヌギタケが枯れた枝を取り除くのに役立つ可能性があるという。

米コーネル大学獣医学部の博士研究員アリッサ・ウェッテラー・カガナー氏は「菌類は環境の変化に適応するダイナミックな生物。異なる環境や気候で新しい宿主に接触すれば、私たちが思いもよらない場所で育つのかもしれない」との見方を示す。

このカエルの運命については、「他の点で健康なカエルなら、このキノコに皮膚を少々侵されても悪影響を受けず耐えられる」可能性はあると指摘。一方で、カエルの真菌感染は例が非常に多く、キノコが「皮膚上で大きく成長したり、体内に潜り込んだりした場合、真菌症の症状を呈するかもしれない」とも述べた。カガナー氏は今回の発見にかかわっていない。