精子は放出するたび「フレッシュ」ではない 世界中で「精子劣化」の現実 父の加齢が子に及ぼす影響 (AERA dot.)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1bf10ebf3c891e8c3e92a6169f165a8390c0d7d2

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精子は幹細胞が分裂して自己複製し、精母細胞を経て膨大な数が随時産生される。この時、加齢とともにDNA合成時の“コピーミス”が増え、遺伝子変異した精子となる。

さらに大隅教授が率いる研究チームは、父親の加齢によって精子形成におけるヒストン修飾や精子DNAメチル化が変化することで精子の“劣化”が進み、それが遺伝子に影響することを発表してきた。最近の調査によって、これらに加え、遺伝子の働きを調整する「マイクロRNA」も変化し、神経発達障害関連遺伝子の制御に関わることを明らかにしたばかりだ。つまり精子も、老化によって後天的に遺伝子の“働き”が変わるのだ。

「父親が40歳を過ぎて生まれた子どもは、自閉症などの発達障害が生じやすくなるという海外の研究発表を、改めて裏付ける結果となりました。例えば皮膚の幹細胞も老化していくように、精子の幹細胞も老化していく。体全体が老化するなかで、精子だけは放出されるたびにフレッシュというイメージがあるとしたら、それは間違っているのです」(大隅教授)

そのうえ、近年、世界的に精液の質が低下していることが明らかになっている。順天堂大学の辻村晃教授の調査で示されているように、「これから子どもを希望する男性の4人に1人は、すでに精液所見が悪化している傾向にある」という驚きのデータもある。

2022年には、ヒトの精子の減少が加速し、「1970年代と比べると6割も減っている」という調査結果が発表された。これは1回の射精に含まれる精子の数を調べたもので、「欧米男性の精子の濃度が40年で半減した」との調査結果(2017年発表)で世界に衝撃を与えた研究の続報だ。

2017年発表の調査では、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドの男性の精子を分析したところ、1973年から2011年までに50%以上減少していた。

その後、同じ研究者が率いるチームが、2014年から2019年までに公開された精子サンプルの研究結果を分析し、以前のデータに付け加えた。すると、精子の総数は1970年代に比べて62%減少していたことが判明。さらに、1年ごとの減少率は2000年以降、2倍になっていることがわかった。つまり、精子が減少するスピードは加速しているというのだ。

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