陸上自衛隊の隊員だった50代の男性が、所属していた富士教導団(静岡県)でパワハラを受けたとして、国に2500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(池田知子裁判長)は14日、150万円の支払いを命じた。1万文字の反省文を書かせるなど、上司の指導は違法なパワハラに当たると判断した。

 判決によると、男性は1986年に入隊し、一貫して富士教導団に所属し、2020年に退職した。17年10月には体重が増加したペナルティーとして、隊員の心構えを定めた自衛隊法52条の条文を1万字に至るまで書き写すよう上司の中隊長に命じられた。

男性側は訴訟で、「約9時間かかって反省文を書かされ、一睡もできなかった。依願退職させるために他にも嫌がらせを受けた」と主張。国側は「正当な服務指導だった」などと反論した。

 判決は、男性が反省文を自発的に作成したとは認めがたいとし、「限度を超えた指導で過度の負担を与えた」と指摘した。また、男性が足に障害を抱えているのに隊舎の5階に居住させ続けられたことなども肉体的・精神的負担を強いるものだったとし、安全配慮義務に違反すると判断した。

 防衛省報道室は「14日中にはコメントを準備できない」としている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9c0205d36a592dc1ee2853eb119061dcde705651