本当に確定申告をボイコットしたらどうなるのか
 最近SNSで話題になっているワードが「確定申告ボイコット」です。これは国会議員の裏金問題に端を発し、「国会議員が裏金を申告・納税しないなら私たちも申告・納税しなくてよいでしょう」という思いから広がったもののようです。

 皆さんが気になっているのが、「本当に確定申告をボイコットしたらどうなるのか?」という点だと思います。そこで今回のコラムではその点について解説していきます。

 本コラムは個人投資家の方が多く読んでいると思いますので、その前提でお話しします。 

 正直、いろいろなパターンが考えられますので、代表的と思われるものに絞っています。

 まず、会社員の方などで給与収入と上場株式などの売却益、配当金しかなく、かつ源泉徴収ありの特定口座を使っている場合です。

 この場合は給与にかかる税金は毎月の源泉徴収と年末調整で納付済みですし、上場株式などの配当金も確定申告不要、源泉徴収ありの特定口座で生じた売却益も同様に確定申告不要ですから、確定申告しなくても何ら問題はありません。

 また、会社員の方で源泉徴収ありの特定口座を使用、令和5年分の株式投資で売却損が出ている方や、令和4年分以前から売却損を繰り越していて、令和5年は売却益が出ている方についても、納税額が生じないので確定申告しなくても問題ありません。

 ただ、前年度以前から繰り越した売却損と当年度の売却益を確定申告することで相殺すれば節税になりますし、令和5年の売却損についても確定申告して翌年以降に繰り越しておいた方が、将来の売却益や配当金と相殺できて節税につながります。

 ふるさと納税や医療費控除など、還付を受けるような場合も、確定申告をしなければ自分自身が還付を受けられなくなるだけなので、税務署からのおとがめはありません。

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/44379