イスラム教の「ラマダン」とは何か、なぜ断食する? 起源は?

ラマダンの期間中、ムスリムの人々は、精神的に成長してアッラーの神との絆を強めるよう心がける。そのために、人々は祈りをささげ、コーランを読み、意識して無私無欲な行動をとり、うわさ話やうそ、争いを慎んで過ごす。

すべてのムスリムは、ラマダンの1カ月間、日の出から日没まで断食しなければならない。断食はイスラム教の五行(五つの信仰行為)のひとつだ。ただし、病人、妊婦、旅行者、高齢者、月経中の女性は、断食を免除される。期間中に断食できなかった日があっても、年内の一定の期間または数回に分けて断食を行って、埋め合わせることができる。

ラマダン中、日の出前と日没後には地域の人々が集まり、食事を共にする。日の出前の朝食「サフール」は、一般に午前4時から、早朝の祈り「ファジュル」の前にとる。「イフタール」と呼ばれる夕食は、日没時の祈り「マグリブ」をすませた後、午後7時半頃から始まる。

預言者ムハンマドが断食明けに水を飲んでデーツ(ナツメヤシの実)を食べたことにならって、サフールでもイフタールでも、まずデーツを口にする。中東で定番のデーツは、栄養価が高いうえに消化しやすく、日没まで断食した体に糖分を与えてくれるフルーツだ。

ラマダンの最終日が過ぎると、人々は、夜明けの集団礼拝で始まる「イード・アル=フィトル」(断食明けの祭り)で、ラマダン明けを盛大に祝う。この3日間の祝祭の間、人々は集まって祈り、食事をし、プレゼントを交換し、先祖に対する敬意を新たにする。一部の都市では、イベントや大規模な集団礼拝も開催される。

伝統的なサフールやイフタールの集まりがどのような形で行われるにしても、この数世紀にわたる伝統の精神は、信仰と内省の機会として変わることなく受け継がれるだろう。

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