クジラを食べてSDGs!? 捕鯨会社社長に聞く「クジラと水産資源」の関係とは?
今回は「クジラを食べてSDGs」について、国内最大の捕鯨会社でクジラ肉の無人販売所を都内や大阪で展開している共同船舶株式会社社長の所英樹さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
無人販売で冷凍肉やベーコン、缶詰も
牧野:クジラ肉の無人販売は初耳で、驚きました。
所:日本は2019年に国際捕鯨取締条約(ICRW)を脱退し、商業捕鯨を再開しました。ところが1年経ってもクジラ肉があまり売れなかったので調べてみたんです。すると反捕鯨団体の反発を恐れ、大手スーパーで置いてもらえないことが分かりました。それが無人店舗販売を始めたきっかけです。
(中略)
適度にクジラを食べて豊かな海を守る
牧野:クジラ肉がSDGsにつながるということですが、それはどういうことですか?
所:商業捕鯨をやめている間にクジラは増えてしまったんです。日本には現在、ニタリクジラ187頭、イワシクジラ25頭という捕獲枠がありますが、この枠は100年捕り続けても1頭も減らない数なんです。
牧野:クジラは減っているというイメージでした。
所:そして、捕獲されたクジラは全頭DNAで管理されています。居酒屋で出たクジラの肉を日本捕鯨協会に持っていくと、いつどこで捕れたのか追跡できます。トレーサビリティー(生産流通履歴)がはっきりしていて、サステナビリティ(持続可能性)もあり、一番管理されている漁業じゃないかと思います。
牧野:へえ、そうなんですか。
所:クジラは1日あたり体重の約4%、年間で体重の約15倍の食事をします。20トンのイワシクジラなら、年間300トンの餌が必要です。クジラはオキアミを食べているという印象があると思いますが、実際はサンマやイカ、イワシ、ニシン、タラ、サケなども食べているんです。
牧野:サンマが減って高騰していますが、そういった理由の一つになっているということですか?
所:そうですね、大きな理由だと思います。適度にクジラを捕って食べて、生態系のバランスを保ち、豊かな海を守り、SDGsにつなげようというのが私たちの会社の理念です。
牧野:世界を見ると捕鯨に反対する国も多いので今さら食べる必要はないのかなという認識だったのですが、そういった実情を聞くと考えが変わってきますね。
所:現在の日本のクジラ肉供給量は2500トンです。1人あたりわずか20グラムなんですね。正しい情報を得たうえで、クジラを食べたい人が食べ、他の人がクジラを食べるのを邪魔しないようにしていただきたいと思います。
他の人がクジラを食べるのを邪魔しないようにしていただきたいと思います。
https://www.at-s.com/life/article/ats/1322054.html