香港 スパイ行為取り締まる「国家安全条例案」 全会一致で可決
2024年3月20日 0時56分

香港の議会はスパイ行為など国家の安全を脅かす行為を取り締まる「国家安全条例案」を19日夜、全会一致で可決しました。中国政府が主導して施行された「香港国家安全維持法」を補完するもので、施行されれば、香港の統制がいっそう強化されることになります。

香港の議会にあたる立法会はすべての議員が出席して本会議が開かれ、19日夜、採決が行われた結果、全会一致で「国家安全条例案」を可決しました。

この条例は中国政府が主導して2020年に施行された「香港国家安全維持法」を補完するもので、▽「国家機密」を盗むことやスパイ行為、▽外国勢力による干渉などを国家の安全を脅かす行為として禁じていて、違反すれば最高で終身刑を科すとしています。

採決のあと、香港政府トップの李家超行政長官は議場を訪れ、議員を前に、「条例の可決は歴史的な瞬間だ。国家の安全が守られた」と述べたうえで、3月23日に条例を施行すると明らかにしました。

立法会は政府を支持する親中派が議席をほぼ独占していて、土日返上で連日、審議を行うなど、条例の制定を全面的に後押しし、香港政府が今月8日に条例案を提出したあと、わずか11日という異例のスピードで可決しました。

条例をめぐっては、「国家機密」の定義があいまいだなどとして、企業のビジネスやメディアの取材などに影響が出ると懸念する声もあり、施行されれば、香港の統制がいっそう強化されることになります。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240319/k10014396301000.html