米国時間2024年3月18日に行われたGDC 2024の技術セッション「Advanced Graphics Summit: GPU Work Graphs: Welcome to the Future of GPU Programming」において,AMDとMicrosoftは共同で,DirectX 12の新機能「Work Graph」を発表した(関連リンク)。
本稿では,Work Graphとは何で,どのような利点をもたらすのかを解説したい。
https://www.4gamer.net/games/033/G003329/20240320003/

話は約1年ほど前にさかのぼる。筆者は,AMDのDavid Wang氏(Senior Vice President,Engineering,Radeon Technologies Group)と,Rick Bergman氏(Executive Vice President,Computing and Graphics Business Group)にインタビューする機会があり,その中で「今後,グラフィックス業界で,新たに起きそうな標準化すべき3Dグラフィックスパラダイムは何でしょうか」という漠然とした質問をしたことがあった。それに対してWang氏は,以下のように答えている。

CPUの助けを借りずに,GPUだけでグラフィックス処理タスクを生成して,それをGPU自身で消費するGPU自己完結型の描画パイプライン駆動技術だ。

https://www.4gamer.net/games/033/G003329/20240320003/

そのうえで同氏は,「これについてAMDは,とあるパートナーと共同で標準化を始めている」と付け加えていた。

 このときにWang氏がほのめかしたGPU自己完結型の描画パイプラインが,まさにWork Graphである。含みを持たせて「とあるパートナー」と表現した相手は,Microsoftだったわけだ。

 AMDが推す「Primitive Shader」と,NVIDIAが推す「Mesh Shader」の次世代ジオメトリパイプラインの標準化戦争では,AMDが敗退した。しかし,新世代のGPU自己完結型パイプラインについては,AMD提唱の仕様が標準仕様として採用されたわけだ。

 とはいえNVIDIAも,Work Graphについては「賛同の意」を示しており,今回の発表に合わせて,NVIDIA製GPUも即座に対応していくと明言している(関連リンク)

https://www.4gamer.net/games/033/G003329/20240320003/