バイト少年、100人以上救う 乱射現場で避難誘導 ロシア(時事通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8d523ace89405a5415cbc9aea819d74d491fe7db

「あっち、皆さんあっちへ逃げて!」。

ロシア・モスクワ郊外のコンサートホールで22日夜に起きた銃乱射事件では、会場でアルバイトとして働く少年が、避難する来場者を誘導し100人以上の命を救った。複数の現地メディアが24日、大きく伝えた。

少年は学校8年生(中学生に相当)のイスラム・ハリロフさん(15)。上着などを預かるクローク担当として夕方に出勤した。最初は「騒がしい連中が来たな」と思っただけだったが、銃声と逃げ惑う人で、すぐに事態を把握した。

実行犯らは1階ロビーからホールに侵入してきたため、正面玄関に向かって避難するのは危険だ。ハリロフさんは、来場者が本来通れない従業員通用口を開放。いつ撃たれるか分からない中、叫び声を上げて人々を誘導し、完了を見届けて自分は最後に出た。他にもアルバイトの少年3人が同様の行動を取ったという。

「非常時の訓練はいつも受けている」とハリロフさん。それでも現地メディアは、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行を主張するテロが「誰も予期できないほどの非常時だ」とし、冷静で勇気ある対応を称賛した。

ハリロフさんは南部ダゲスタン共和国出身で、イスラム教徒の家庭に育った。「母親は無事を知り、泣いていた。自分は男性が撃たれた光景が頭から離れない」。テロで傷ついたロシア社会から英雄視されても、本人は「仕事の一つ。目の前で100人が死ぬくらいなら、自分が犠牲になった方がいい」と謙虚に話した。