徳山ダムの木曽川導水路、建設費が2.5倍に 2270億円と試算

徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を揖斐川から木曽川に流す導水路建設を巡り、国土交通省中部地方整備局や関係自治体による会合が28日、名古屋市内で開かれ、事業主体の水資源機構が導水路建設の総事業費の試算を2270億円と示した。当初の890億円から約2・5倍に膨れ上がった。

同機構によると、増大の理由は近年の物価高騰や人件費の増大に加え、消費税が当時の5%から10%へ上がったことなどがあるという。当初の890億円は2006年度の単価で計算された数字だった。一方、総工期は調査や用地補償も含め計12年と示された。

 導水路は、木曽川と長良川の渇水対策や河川環境改善のため、上流に全長約43キロ、下流に全長約1キロのトンネルを建設する計画で、2009年度着工、15年度完成の予定だった。しかし、名古屋市の河村たかし市長が09年に撤退を表明。その後、当時の民主党政権が事業を凍結していたが、河村市長は昨年2月、一転して容認に転じた。市は昨年5月、会合でおいしい水道水の安定供給▽流域治水の推進▽堀川の再生--の新用途を挙げて、中部地整や関係自治体から異論は出なかった。【川瀬慎一朗】
https://mainichi.jp/articles/20240328/k00/00m/040/153000c