小林製薬(大阪市)の「紅麹(べにこうじ)」成分が入ったサプリメントによる健康被害が確認された問題を巡り、3商品の回収命令を出した大阪市は27日、記者会見を開いた。原因となる紅麹を製造していた大阪工場(同市淀川区)は昨年末に閉鎖され、立ち入り調査によって「(現場の)衛生状態は確認できない」と説明。今後は同社の報告を受けるなどし、厚生労働省と連携して原因究明を急ぐとした。

市による回収命令は、厚労省から26日、食品衛生法に基づく措置を講じるよう通知を受けたためだ。会見に臨んだ市健康局健康推進部の亀本啓子・保健主幹は、市が通知前に回収命令を出さなかった理由について、「(同社の)自主回収によって一定の被害拡大防止措置がとられていた」と説明。「回収命令に切り替えるには(国の判断など)根拠が必要だった」と述べた。

市によると、回収商品に含まれる紅麹は昨年12月の大阪工場閉鎖前に製造された。機械などを含む工場機能は和歌山県内に移転し、大阪市に立ち入り権限はない。亀本氏は「工場が稼働していたら即座に立ち入りしていた。工場がなくなっていることは非常に残念」と述べ、今後は和歌山県側と連携するとした。

市は、大阪工場の紅麹を使った3商品の製造工場がある岐阜県と富山県にも調査を依頼した。岐阜県は、関連商品を受託製造していたメーカーの工場に26日に立ち入り調査したと公表した。

小林製薬から市に対しては問題を公表した22日の午前、最初の報告があったが、市としてまだ十分な報告を受けていないとの認識だ。市は同社に対し、患者の氏名や摂取ロットなどの健康被害情報▽紅麹原料の販売先や販売数量▽原因究明の調査状況▽製造工程に関する情報-などの報告を求めたことも明らかにした。

亀本氏は「健康被害があれば医療機関を受診した上で、保健所にも届け出てほしい」と注意を呼び掛けた。
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