SNSに群がる「インプレゾンビ」は百害あって一利なし、完璧ではないが対策できる

「インプレゾンビ」をご存じだろうか。インプレゾンビとは「インプレッションゾンビ」の略称で、X(旧Twitter)などのSNSにおいて、ポスト(投稿)の表示回数を稼ぎたいアカウントを指す。バズったポストのリプライや「トレンド」のタイムラインに現れ、人気のポストを丸ごとコピーした投稿などを行う。中身が何もないインプレゾンビのせいで、確認したいリプライやトレンドの元の投稿が埋もれてしまう。

 インプレゾンビは、勢いよくバズったポストにわらわらと湧いてリプライする。一言だけ返信するゾンビもいれば、ポストの内容をまとめたような文章、全く関係ない画像や動画を返信するゾンビもいる。そのほとんどは、自動化されたbotアカウントである。生成AIで文章を返信するアカウントもいるため、あるユーザーが試しに「今日の夕食の献立とレシピを考えて」とリプライすると、丁寧にレシピを回答したケースがあるようだ。

 この迷惑至極な「インプレゾンビ」は、2023年秋ごろから少しずつ姿を見せ始めた。彼らの多くは外国語でリプライやポストしており、アカウント名やプロフィル画像も海外のアカウントらしい装いだった。しかし2024年になり、日本人のようなプロフィルを掲げ、日本語で投稿するインプレゾンビも増殖している。

 2024年1月1日に起こった能登半島地震では、日本語を理解しないインプレゾンビが救助を求める投稿をコピーしたり、別の災害の画像を投稿したり、と偽情報をまき散らして深刻な問題となった。日本政府は同年1月6日、Xなどの事業者に対して能登半島地震に関するデマや偽情報に適切な対応を取るよう求めた。日本は自然災害時のコミュニケーション手段としてXを頼りにしてきた過去もあるため、インプレゾンビの出現は深刻な問題となっている。
こうしたインプレゾンビはなぜ出現したのだろうか。

Xの収益に群れるゾンビたち
 インプレゾンビの目的は、ずばり収益だ。インプレゾンビが増えたきっかけは、Xが開始した「クリエイター広告収益分配プログラム」だといわれている。日本では2023年8月に導入された。同プログラムは、サブスクリプション「Xプレミアム」に加入しているユーザーに対して、Xが広告収益の一部を分配する仕組みだ。ただし、フォロワー数や年齢など、Xの定める規定を満たす必要がある。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00160/030200395/