「ゲーム感覚」「世間の人々も観客」… 40年前のグリコ・森永事件が令和の世に伝える教訓

昭和59年11月、ハウス食品との現金受け渡しの際に不審車が止まっていた名神高速下の一般道路。
車は滋賀県警のパトカーを振り切って逃走した=滋賀県栗東町(現・栗東市)

昭和59年3月に起きた江崎グリコ社長誘拐に端を発するグリコ・森永事件。「反権力のヒーロー」を気取った犯人は、
「かい人21面相」を名乗り、挑戦状をマスコミに送り付けたほか、食品会社を次々と脅迫、青酸入りの菓子を店頭に置くなど
卑劣な行為を繰り返した。社会を混乱に陥れ、「劇場型犯罪」と称された事件から40年。
人工知能(AI)を悪用した劇場型犯罪が懸念される中、専門家らは改めて教訓としつつ、新たな犯行形態への対策強化を訴える。

強い自己顕示欲

「犯人の狙いは社会をおちょくってゲーム感覚のように楽しむことで、愉快犯の側面が強かったのではないか」
こう分析するのは、劇場型犯罪に詳しい聖心女子大の小城英子教授(社会心理学)だ。

《けいさつの あほども え》。江崎グリコ社長だった江崎勝久氏(82)の誘拐事件から約3週間後の59年4月9日。
犯人グループからの挑戦状がマスコミに送り付けられた。

犯人側はこてこての関西弁を使い、《わしら つかまえてみ》と警察を挑発。
また、庶民受けする言葉を選び、ときには自作したというカルタを披露し、
《あほあほと ゆわれてためいき おまわりさん》などと皮肉を込めた。
https://news.infoseek.co.jp/article/sankein__affairs_crime_ZK32JCPZBZPTDODULWCI56PDCE/?tpgnr=life