米国立公園局(NPS)は3月13日、ワシントンDCの国立公園内の桜の木を伐採すると発表した。その桜は、日本が1912年に日米両国の平和と親善の象徴として贈ったもので、春の国立公園の象徴的存在だ。しかし、気候変動による海面上昇の影響で、一部の桜の根が朽ち、護岸補強工事とともに伐採されることになった。(オルタナ副編集長・北村佳代子、吉田広子)

伐採の対象となるのは、公園内のタイダルベイスン貯水池に立ち並ぶ樹木だ。タイダルベイスン貯水池と、ポトマック川西岸に立ち並ぶ護岸を補強する工事を行うためだ。

NPSの発表によると、約3700本の桜の木のうち、158本を伐採する。工事完了後、274本の桜が植えられる予定だという。費用は1億1300万ドルを見込む。

NPSは、声明のなかで「老朽化や海面上昇の影響で、護岸は大きな被害を受けている。防潮堤の一部は5フィート(約152cm)も沈下した。護岸工事を行うことで、公園は今後100年間、インフラの故障と海面上昇という差し迫った脅威から、米国を代表する記念碑と日本の桜を確実に守ることができる」と説明する。

「スタンピー(切り株)」の愛称で親しまれた、ひょろりとした桜も、護岸工事の一環で伐採される予定だ。別れを惜しむ声もあり、別の場所への植え替えを求める署名活動も始まった。

工事は5月ころに開始し、2027年までに完了する予定だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1d30204a6fabea08c23c16f3dda0d21d073f48e0