「『私が就職活動で100社もの会社に落ちた1997年…』と話し始めたら」――。

 3月28日夜、伊藤たかえ参議院議員(国民民主党)はXにこんな内容の投稿を行った。予算に関する反対討論の中で、就職活動中のエピソードを語ったところ、議場から吹き出す声などが聞こえたのだという。

 <投稿内容の引用>

 「令和6年度予算三案に関する反対討論で本会議登壇。 冒頭『私が就職活動で100社もの会社に落ちた1997年…』と話し始めたら、議長席(?)で吹き出す声や、議場から『100社はむごい』とか『オレ全部受かった』とか、笑い声や話し声が色々耳に入って来て動揺し、めちゃくちゃ噛んでしまう」

 この投稿では触れられていないが、1997年が就活生にとってどういう時代であったのかは、40代以上であればすぐにピンとくるだろう。

 1991年にバブルが崩壊し、それまでは売り手市場だった就職事情が激変。特に1993年から2005年頃までに就職活動をしていた世代が「就職氷河期」と呼ばれる。
 今では考えられないが、バブルの頃は企業が内定者を逃がさないように海外旅行に招待することもあった。これが一転したのが就職氷河期で、1991年に81.3%だった大卒の就職内定率は2003年には55.1%まで落ち込んだのだった。1990年代中旬の就活生たちは、華々しく内定を獲得していた先輩の姿と自分たちとの違いに愕然としただろう。

 一流企業を狙うどころか、卒業までに就職が決まらない学生が珍しくなかった時代に辛酸を舐めたのが、今の40代~50代前半(出生年は1970年~1984年頃)である。

 しかし議場には、この年代の議員が少なかったのだろうか。もしくは二世議員は就職には苦労することがなかったのだろうか。伊藤議員のエピソードに吹き出したり、「オレ全部受かった」と言った議員がいたりしたという様子を聞くと、政治家たちは氷河期世代の受難を忘れてしまったのかと言いたくなる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/82727db5ac443637409702fafde864914871a42e